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ProjectMeltDown

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VeNus ACT2-1

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VeNus Fantastic Powder
VeNus2-1


       明転。

プーくん  は!記者会見の時間だ!

おねえ   わたしもお供しますわ。

プーくん  あとはまかせたぞ少年!

おねえ   レッツぎっしり!

       突如プーくんと歌のお姉さん去る。

さとし   おいおいおいって!

リラ    早っ!

真希    あーあ、行っちゃった。

さとし   いないほうが落ち着くけど。

真希    でも、これからどうするのよ。

リラ    智司が魔王を倒せばいいんじゃないか?

さとし   ちょっと待って。魔王ってなんだよ。

真希    悪い王様でしょ。

さとし   いや、微妙にあってんだけど、

      俺の聞きたいことはそういうことじゃなくて。

リラ    たぶん。ロールプレイングゲームに見たててるんだと思うけど。

さとし   俺、参加しないよ。まだ、荷物届くし。

リラ    そういうことだから根性なしって言われるんだよ。

さとし   だってさあ。変な遊びにつきあう暇ないよ。

リラ    雪江ちゃんがかかっててもか。

さとし   は?

リラ    このゲームには雪江ちゃんがかかっている。間違いない。

さとし   誰の仕業さ。

リラ    それはわからない。でも、わざわざ「愛しい人が待っている」って、

      ヒントをくれてるんだし。

      なんか一定の条件をクリアしないとつきまとわれるんじゃないかな。

さとし   ちょっと、待って。お前ノリノリだったじゃん。

      友だちとかそういうんじゃないの?

真希    こいつ、ノリだけだし。

さとし   ・・・

リラ    智司。悪いことは言わない。

      あーゆー連中が来たらとりあえず逆らうな。

      なにされるかわからないからな。

      相手に合わせるってキホンだぞキホン。

真希    本職全開ね。

リラ    美女養成講座講師、堀蘭太郎。いつでもどこでも誰にでも教えます。

真希    そういやアンタの本名堀蘭太郎っていうのよね。

さとし   中学くらいのころはホリランで、気付いたらリラだったなあ。

真希    堀蘭太郎からホリラン、ホリランからリラ。二段階で省略したのね。

リラ    さて、この堀蘭太郎通称リラが察するに。

      ゲームを全うしない限り、連中はつきまとう。

      連中の脅しが、脅し?・・・まいいや脅しが本当なら、

      雪江ちゃんも混ぜられている可能性が高い。

真希    面白い仮説ね。

リラ    ひとまずわれわれの置かれている状況はそんなもんだろう。

      突破するにはクリアするしかない。

さとし   なんか、なあ。乗り気じゃないんだよなあ。

      第一、ルール全然わかんないし。

リラ    それは問題だな。

さとし   とりあえず、このデカ過ぎる百円玉としょぼい棒は何?

リラ    何に使うんだろうな。

真希    貸してみて。

      ・・・あ、これ。叩くんじゃない?おりゃ!

リラ    ばふ!あうう、なんで俺え。てゆうか、ちょっと快感。

真希    アンタ、マゾっけあったの?まあ、なんでもありなんだろうけど。

リラ    いやそうじゃなくて。ちょっと貸して。・・・ほりゃ。

真希    げふい!何すんのよ!って、あれ?なんか変な感じ。

      あ。肩たたきじゃない?・・・おおおおおお。いい感じだあ。

さとし   なんなの?結局。

真希    えい。

さとし   な!

      ・・・あ。痛くない。痛くないっていうか、なんか元気になるね。

リラ    長旅には使えそうだな。回復用だなこれ。

真希    あ。あ。あ。あ。あ。あ。うううう。

さとし   なんか年寄りくさいねその行動。

真希    なぬ!

さとし   げはあ!・・・これ、つっこみにいいかも。

2人    ほおおおおーお。

さとし   なんだ、その眼は。

リラ    なんていうか。

真希    やっぱり突っ込みなんだなあって。

リラ    うん。

さとし   おれはつっこみじゃない!

真希    えい!

さとし   うお。・・・なんか落ち着くなあ、これ。

リラ    別な意味で危険な道具だね。

さとし   これは?

リラ    なんかにせものくさい百円玉だなあ。

さとし   このサイズじゃ通貨とはいえないだろう。

リラ    コンコン!堅さもよくわからん。

さとし   折ってみる?

リラ    それは道具さんキレるだろ。

さとし   そうだよね。

真希    模様が変だわ。

さとし   なんだろうなこの模様。

リラ    漢字が彫ってある。

      多摩演劇フェスティバル参加サザンクロス公演

      風の中の少女 9月14日 新関戸公民館ホールにて

      ああ、宣伝だあ。

真希    あと三週間ないわね。

リラ    ああ、いっぱいいっぱいさ!(なんかまじくさい)

さとし   他には?

リラ    ぬう、苦労話は聞きたくないの?

さとし   あいにく目先のことで精一杯さ。

真希    とりあえず、使い道はまだなさそうね。

      あ、まだってことはこれから使うかも知れないって意味だからね。

さとし   本当にこんなの使えるのかなあ。

リラ    頑張る気になった?

さとし   なんかなあ、まだ頑張る気になれないんだよなあ。

リラ    腰の重いやつだなあ。

真希    智司君て、気持ち切り替えるの苦手よね。

さとし   ああ、よく御存じで。

リラ    どういたしまして。

さとし   あ、そうだ。玄関閉めれば、入って来ないんじゃない?

       さとし、玄関に向かう。すると。

嫁石川   あら、ちょうどよかったわ。これないと意味ないのよねえ。

さとし   石川さん。

嫁石川   あ。お友達?女の子は彼女?でへへへへ。

さとし   いえ、友達のか(のじょ)

嫁石川   トモダチだなんて隠さなくていいわよお。・・・あ!

さとし   はあ。

嫁石川   お邪魔だったかしら?

さとし   いえ、そういうことじゃなくって。

嫁石川   ごめんなさいね。気が利かなくって。

      これあげるから楽しんでね。

さとし   ありがとうございます。ってこれなんです、ああああ

嫁石川   「がんばってねえええ」

さとし   行ってしまったああ!

リラ    リアクション大きいなあ。

真希    なんか手強そうなひとね。

さとし   少なくとも自分のペースにはならないとおもう。

リラ    で、なんかもらってたみたいだけど。

さとし   ああ、これ。説明書?かな。

リラ    読んでみよう。

さとし   「ついにメルトダウンルールがゲームシステムに搭載されたゾ。

      君は本当の愛を手にすることができるのか!」

真希    あら、偶然。

リラ    はーはっはっはー!

真希    すごーい。

リラ    はーはっはっは!このゲームは我々が勝ったも当然だあ!

さとし   そうえばお前は!

リラ    美女養成講座講師!

      すなわち、メルトダウンルールのプロフェッショナル!

さとし   すげえ!でも結局メルトダウンてなんなんだよ。

リラ    オップス!・・・うーん。

      まず、本当のメルトダウンてのは、

      核エネルギーが制御できなくなって、熱の上昇が暴走して、

      まわりを溶かすどころか、地面ごとおっこっちゃうことなんだよね。

真希    うん。

リラ    で、ここでいうメルトダウンはうちの師匠の恋愛日記

      「プロジェクトメルトダウン」にまつわるルールなんだ。

さとし   恋愛日記?

リラ    そう、彼のふったりふられたり片思いしたり片思いされたり

      裏切ったりうらぎられたりの詩みたいな不定期日記。

      代表的な作品に「Planet In Your Eyes」というのがある。

さとし   「瞳に映る惑星」の原作。

リラ    そう、その「瞳に映る惑星」の登場人物たちを研究して、

      恋の捕獲方法を類型化しようというのがメルトダウンのルールだ。

さとし   世の中って複雑って言ってなかったっけ。

リラ    だから、この視点で、少し優位に物事を見つめようというんだ。

真希    ちょっと卑怯なのよね。

リラ    そう。卑怯なんだよ。

さとし   で、そのメルトダウンの視点で、今、何ができるわけ。

リラ    全部教えるにはとっても時間がかかるから、大枠俺が手伝う。

さとし   ありがと。

リラ    でも、まず、お前には最低限のことを知っておいてもらおう。

さとし   はあ。

真希    その一。

リラ    狩猟民族と農耕民族の違い。

さとし   肉をとるか米を作るかのちがい?

リラ    近いけど、それだけじゃだめだ。今は愛だの恋だののお話だ。

さとし   ・・・わかんねえな。

リラ    よくいるのは狩猟民族。有名な生き物はナンパ師。

      プロサッカー選手も近いかな。

さとし   ん?

リラ    みんな勘違いしているのはモテるのは狩猟民族だと思っている。

さとし   落としにいくから?

リラ    そう!

さとし   そうか!

リラ    で、狩猟民族ってのは好みの相手にちょっかいを出す生き物。

      ここまではOK?

さとし   うん。まあ。

リラ    難しいのは農耕民族という考え方。

      狩猟民族に関する知識しか知らないと、この人たちは何もしない、

      モテない人たちだと思われがちだ。

さとし   だろうね。

リラ    しかあし、メルトダウンの農耕民族は積極的に耕す人たちだ。

さとし   ちょっと、待て。

      ・・・好みの相手を見つけてゲットするのが狩猟民族だよな。

      ってことは、好みの相手に育てるのが農耕民族う?

真希    あたりー!

リラ    そのとおり!なかなか頭いいな。

さとし   いいんだけど、変じゃないそれ。

リラ    いいんだよ、これで。

      狩猟民族は短期的な作戦だ。欠点が一つあって、

      好みの異性って意外と少ないもんなんだよね。

      で、素質ある相手を自分好みに変えていくのが農耕民族。

さとし   すげえ、外道だけどなんか立派なこと言っているみたいに聞こえる。

リラ    ただし、これは相手が自分を好きな場合に適用される。

さとし   意味ないじゃーん。

リラ    だから。そこが農耕民族の凄いところなんだよ。

      狩猟民族は「第一印象」または

      「第一、第二印象のギャップ」によって惚れさせる。

さとし   じゃあ、農耕民族は。

      第二印象、または第二、第三印象の・・・

リラ    ギャップもしくは深さによってハメていく。

さとし   あり地獄な感じだね。

リラ    そう、入り口広くて出口がない。しかも何人でも大丈夫。

      雑誌に載ってるモテ方ってのは狩猟民族がほとんどだ。

      農耕民族について教えているのは俺のような

      美女養成講座講師ぐらいなもんだ。

さとし   おまえってやっぱり外道だったんだ。

真希    知ってる知ってる。

さとし   真希ちゃん。こんな話し聞いてひかないの?

真希    ごめん、わたしかなりメロメロだから何言われても平気。

リラ    な。こういうことなんだよ。

さとし   お前って狩猟民族っぽいのになあ。

リラ    わかってきたなあ。俺はかけ合わせタイプ。

      農耕民族が王国なら、俺は帝国って感じかな。

真希    なにか違いでもあるの?

リラ    勉強しろ大学生。

真希    ゴフ!

リラ    帝国はなあ、領土広げたり、侵略しにいったりするんだよ。

さとし   攻めるだけじゃなく、その後統治するんだな。

真希    げふう。

さとし   今言った意味って実は相当ひどいはなしだな。

リラ    うん。よくわかってる。

真希    いいわよ!

      リラがどんなに浮気したって、私、リラのこと好きだもん。

       リラとさとし、ほっといてみる。

真希    ・・・。

      あの、コメントは?

さとし   なんか、ギッシリすぎてあきれる。

リラ    ついでだから今の現象。

      これを虜の法則(とりこのほうそく)という!

さとし   !

リラ    俺から見て真希は本当に信じられる。

真希    ぽ。私もリラのこと信じてる。

リラ    「信じてる」って全然意味わかんない言葉だけど。

      この場合さあ、俺が真希に冷たくしても、

      真希はまず俺を裏切らないわけだ。

さとし   理由は?

リラ    特にないけど。いろいろ試した結果、まだついてきてるから、

      この子は「俺の虜なんだあ」って確信してる。

さとし   こんなこと言ってますが。

真希    否定しないわ。

さとし   つうかいろいろって何したの?

真希    浮気をほのめかしたり、他の女の名前小出しにしてみたり、

      シカトしてみたり、本当に浮気してみたり。

さとし   ・・・。

真希    ハラハラするけど、結局大丈夫なのよねえ。

リラ    ばか。俺は真希だけだよ。

真希    ばかあ。

さとし   ・・・。あーはずかし。

      でも、農耕民族がなんなのか分かった気がする。

      あと、虜の法則も。

リラ    なんとなくわかるだろ。

真希    ときどき、こいつ女より腹黒いなあって思うときあるわ。

リラ    それ今日のテーマかもね。(ぼそっと)

真希    え、もっかいいって。

リラ    真希、いつもいい香りだね。

さとし   死ぬ。俺死ぬ。

真希    (遠くを見つめながら)ああ、スカスカ万歳・・・。

さとし   だめだあ、この人。本当に年上なのかなあ。

リラ    高三と大学一年なんて差あないよう。

      高二と高三の方が差が大きいよ。

さとし   学年で上下感あるもんなあ。

リラ    雪江ちゃんは高二だっけ。

さとし   おれ、たぶん、いいお兄さんなんだろうなあ。

リラ    あ、ちょっと待って。電話!

      はい。あ、はい。え?智司?いるけど。

      うん。変わってみる?

さとし   え?誰。

リラ    雪江ちゃん。

さとし   ぶほ!

リラ    どうする?変わる?

さとし   え?なんで?

リラ    どうすんの?

      ・・・あ、ちょっと待ってね。

      どうづんの?

さとし   ・・・(手をのばす)

リラ    変わるねー。

さとし   ・・・あ、もしもし、いこまですが。

      雪江ちゃん?どうしてリラの番号知ってんの?

      え?一緒に引っ越し手伝わないか聞かれたあ。

真希    ああ、さっき君のバイト先顔だしたの?

さとし   (2人にはキツ叱り顔)

      あ、いいよ、別に。うん。引越しもうそろそろ終わるし。

      ・・・じゃあ、今度お祝ちょうだい。

      はい?・・・え、ちょっと。何?

      うん。じゃあ。・・・変わるわ。

リラ    何?(受け取る)

真希    さとし君、電話中声いい感じー。

さとし   よく言われる。

真希    電話作戦はありだね。

さとし   あ、そうだオマイラ嬉しいけど余計なことしなくていいよう。

真希    はっはっは。それより何言われたの?びっくりしてたけど。

さとし   うん。なんかねえ、「ちゃんとクリアしてね」って。

真希    なんのことかしら。

リラ    じゃ、さとしにも伝える。分かった。ありがとお!じゃ!

さとし   ・・・。

リラ    大変だ智司。テレビつけろ。

さとし   いやそれさあ。

リラ    あれ?テレビは?

さとし   まだ、届いてないんだよね。

リラ    ああ、どうしよう!

真希    何慌ててんの?

リラ    テレビで説明したほうが早かったんだけどなあ。

真希    だから何が?

リラ    ああ、いい。さくっと伝えよう。

      今、テレビじゃお前のことでもちきりだあ。

2人    はあ??(真希とさとし)

リラ    世界中で15歳未満の子供が石像になっているらしい。

2人    はあああ?

リラ    ちょっと前にゲームの開始が宣言された。

      同時に、あるコインがないと魔王と戦う資格がないと発表された。

2人    ますますわかんないさ。

リラ    説明書のはじめの方と似てる。

      「さあ、己を知る旅に出よ」

さとし   もしかしておれ?

       真希とリラ、例の百円玉を指差す。

さとし   まじでえ。なんでえ。うそだろう?

リラ    お前、雪江ちゃん信じないの。

さとし   信じるってゆうか、ついゆうこときいちゃいそうだけど。

真希    「ちゃんとクリアしてね」って言われたんでしょ。

おねえ   で、愛する人を救うんでしょ。

さとし   うわ!

おねえ   きっと心を痛めてるわ。自分の知ってる人が戦わないばっかりに、

      世界中で子供達が・・・(ないけどハンカチ)

プーくん  泣くでない乙女よ。(男前)

さとし   君は石像にならないの?

プーくん  僕は特別。

さとし   三歳でしょ15歳未満じゃん。

プーくん  三才じゃなくて「永遠の三歳」

おねえ   プーくんはねえ、としをとることができないのよ!

さとし   ・・・。

おねえ   そうね。あなたにはまだ、愛の力がないのね。

プーくん  そうだ、彼の心の旅を手伝おう!

おねえ   そうだ。智司君の愛について聞きましょう!

      さ、大きな声で!さとしくん誰が好き?

さとし   ・・・あの。俺の心の旅って。

リラ    じゃあ!おれが!

総員    おおお!

リラ    みんなどけい!

       といってみんな後ろへ。

       リラ、中央ではりきる。独裁者の演説みたいに!

       かっこいい曲。「星々の海をこえて」

リラ    好きだ。たまらなく好きだ。

      この言葉の意味を!本当の価値を誰が分かっているのか!

      俺は真希が好きだ。言っても言っても言い足りない。

      すかすかだろうとぎっしりだろうと、心を込めて、いつも口説く。

      好きだという、ただひとつの真実のために、俺は進化し続ける。

       さとしが入ってくる。(他は順次、セリフ前にいつの間にか入る)


VeNus 第2場後編へ続く

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